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小さな巨人が放つ大きな存在感。 その源は、底抜けの明るさと強い負けん気
前節の序盤、ミスをした味方に森田政彰が近寄って冗談っぽく声をかける。「次の挽回が楽しみやな!」。ミスを指摘するわけでもなく、ありきたりな言葉でないのが、森田らしい。
「もし自分がミスしたら、『次に行こう』って言われても逆にプレッシャーになる。ミスを試合中に責めても良くないし、ネガティブになればなるほどプレーは悪くなっていくと思うので、気が紛れるように、ちょっと笑わせるぐらいのイメージで声を掛けました」
もともと話し好きの森田はコミュニケーションを取るのがうまく、中国電力レッドレグリオンズのムードメーカーの一人。今季は開幕からほとんどの試合に先発出場し、グラウンド内外でチームに欠かせない存在だ。
ただ、今季一度だけメンバー外を経験した。前々節の九州電力キューデンヴォルテクス戦、岩戸博和ヘッドコーチからは「休養」と説明されたが、本人は「パフォーマンスが悪かった」と捉えて危機感を持っていた。
それでも、前節のNTTドコモレッドハリケーンズ大阪戦で2試合ぶりに先発復帰。試合は無得点で敗れて悔しさを味わったが、奮起していたタックルや突破では手ごたえを感じていた。今節のマツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)とのダービーマッチも引き続きスタメン入りし、「選ばれたからにはアグレッシブに攻めたい」と気合いを入れる。
広島ダービーは今季3度目。開幕戦は快勝したが、先月の第2戦では8点差で敗れた。決着を付ける第3戦は、NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23入替戦への可能性を残す両チームにとって勝ち点5、つまり3トライ差での勝利が必要となる。広島のプライドと入替戦が懸かった激戦必至の大一番。当然ながら、普段以上に気持ちが勝負を左右する。
「とりあえず攻めて、攻めて、攻めまくって、相手の時間になったらとにかくタックルに行ってすぐに(ボールを)取り返したい。怖いとか、しんどいとか、きついとか、そんなことを言っている暇は絶対にない」
166cm・84kgの森田はセンターとしてかなり小柄だ。前回の広島ダービーでは「僕が狙われていた感じがあった」と振り返る。今回のSA広島はセンターに174cm・92kgのジェイコブ・アベルと185cm・110kgのテビタ・タイというパワフルな二人をそろえてきた。
体格差はあるが、「相手が強ければ強いほど、大きければ大きいほど、『小さい相手に負けたって思わせてやる』という気持ちでやっている」と闘志を燃やし、「逆に相手が狙ってくるところを、失敗だったなって思わせるぐらいのタックルやアタックを見せたい」と意気込んでいる。
シーズン終盤の大一番。森田が気持ちの入ったプレーでも、コミュニケーションでもチームを盛り上げる。「グラウンドで一番目立つ選手になりたい」。小さなセンターがグラウンドの真ん中で大きな存在感を放つ。
(湊昂大)
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