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マッチエピソード&記者会見レポート
【(C)JRLO 九州電力キューデンヴォルテクス ファインガ選手】
2022年最後の試合で今季初勝利を挙げた九州電力キューデンヴォルテクスの新年は中国電力レッドレグリオンズとの“電力ダービー”で幕開けとなった。結果は、32対0で快勝。「本当に完敗」と中国電力レッドレグリオンズの西川太郎共同キャプテンに言わしめるほどの充実した試合内容で年をまたいでの連勝を達成し、23年の良いスタートを切った。
「言い方はなんですが、一人だけ違う次元のラグビーをやっているようでした」。赤間勝監督は前節、後半途中から加入後初出場となったコルビー・ファインガのプレーをそう評した。けがにより出遅れたが、徐々にコンディションも良化。今節が満を持しての初先発となった。
ゼイン・ヒルトン ヘッドコーチが「コルビー(・ファインガ)が試合に大きな影響を与えてくれた」と賛辞を贈ったように、彼が違いを生み出した。チーム2本目のトライの場面では密集の中で動き出したサム・ヴァカを見逃さずに正確にパスをとおしてお膳立て。自身の加入後初トライとなった場面でも、ブレイクダウンで密集が生じている後方でスルスルっと大外のスペースを狙える位置にポジショニング。パスを引き出すと最後は相手選手3人からタックルを受けながらも力強くトライラインを越えた。
スーパーラグビーのメルボルン・レベルズで師弟関係でもあり、その実力をよく知るゼイン・ヒルトン ヘッドコーチは「彼はワールドクラスの選手」と全幅の信頼を寄せる。現在、チームには6人の外国籍選手が在籍しているが、カテゴリーのエントリー枠の関係で同時起用できるのは4人まで。ただ、赤間監督が「相手の特長に応じて、起用を決めていける。選択の幅が増えたのはいいこと」と話せば、ゼイン・ヒルトン ヘッドコーチも「過去3試合、メンバーを決めるセレクションのところで本当に難しい決断をしなければいけなかった。ただ、それはチームの競争力が高いということであり歓迎すべき」と話す。
九州電力キューデンヴォルテクスは充実の一途をたどっている。
(杉山文宣)
【(C)JRLO】
ゼイン・ヒルトン ヘッドコーチ
「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。全体としてすごく満足しています。試合を支配したいと話していましたが、小さいバトルのところでしっかりと勝つ。それができたからこそ、実現できたと思います。外のエリアでも勝つことができていたと思います。グループの中で長い間、作り上げてきたわれわれの文化がしっかりと表れたと思います。今季はどこに行きたいのか。そこを現実的に考えないといけないと思っていて、ポゼッションは少し課題がありましたし、もし、成功したかったら作られた機会は確実に仕留めなければいけない。もちろん、ポジティブなところがたくさんあって、まだまだ長いシーズンですが、1試合1試合をしっかりと振り返っていきたい。毎試合、どんどん良くなっていきたいです」
──“電力ダービー”の一戦でしたが、その意識はあったのでしょうか?
「ダービーというのはすごく良いことだと思います。今日は本当に多くのサポーターに来ていただけましたし、『We are Kyushu』という話はずっとしています。九州という街やラグビーを代表しているつもりです。“電力ダービー”で勝てたことは自信しかつかないですし、毎試合、サポートが必要だというのは変わらないです。シーズンをとおして、もっと良くなっていってくれたらと思います。見に行きたいと思ってもらえるようなスタイルでプレーすることが私の目標でもあります」
──コルビー・ファインガ選手が初先発でした。高いクオリティーを持った選手ですが、彼の評価を教えてください。
「スーパーラグビーのメルボルン・レベルズで彼のことを指導していたんですが、彼はワールドクラスの選手です。アキ(山田章仁)もサム・ヴァカもワールドクラスの選手ですし、そういった選手が何人かいることはチームにとってすごく良いことです。彼らもグループの価値を引き上げてくれるんですが、グループ全体として頑張っていけることが一番良いことだと思います。質問の答えですが、コルビー・ファインガが本当に試合に大きな影響を与えてくれたと思います」
──チームの底上げがなされて、ヘッドコーチのやりたいラグビーが表現できるようになってきているのではないでしょうか?
「みんながどんどん、良くなっていく。それが一番、良いことだと思います。過去3試合、メンバーを決めるセレクションで本当に難しい決断をしなければいけなかった。ただ、それはチームの競争力が高いということですので、歓迎すべきだと思います」
九州電力キューデンヴォルテクス
山田有樹キャプテン
「まず、始めに中国電力レッドレグリオンズのみなさん、ありがとうございました。ホームで勝てたことが良かったですね。あとは無失点に抑えることができたのも自分たちの成長かなと思います。前半はちょっと、相手のプレッシャーがあって自分たちが思うようにプレーできなかったところがあったんですが、後半はそこを修正できたことが良かった点だと思います」
──“電力ダービー”の一戦でしたが、その意識はあったのでしょうか?
「(中国電力レッドレグリオンズは)日ごろから練習試合や交流があるチームです。今回も会社の方々が盛り上げてくれて、ほかの方々も試合を見に来てくれました。そういうふうに会社から盛り上げてもらえると本当に自分たちの力になりますし、自分たちももっと良いプレーをして、またお客さんを増やせればいいと思います。自分たちも日ごろの支援があって、ラグビーに取り組めているので、会社の方々が見に来てくれたのは大きな力になりました」
──前節はハイスコアゲームになってしまい、守備の部分が反省点でした。そこを今節の無失点につなげられた部分はあったのでしょうか?
「自分たちの強みはディフェンスなので。前節はディフェンスの部分で修正すべき点があったので、自分たちの強みであるディフェンスにもう1回、立ち返ろうということで確認してきました。今日は全員が良いポジションを取って、無失点にできたことは良い成長につながっていると思います」
──選手の立場からもチームの底上げは感じていますか?
「コルビー(・ファインガ)選手が加入して、チーム内の競争も激しくなって、自分も練習で気を抜けばポジションを取られてしまう。全員が、メンバー外の選手も、良いエナジーをチームに出してくれて、毎日が良いセレクションになっていていい刺激になっています」
【(C)JRLO】
山田章仁選手
「新年一発目の試合で、前節は接戦だったし、今日も勝たないといけないゲームでしたが、たくさんのお客さんに声援をいただいて、良いゲームができて良かったなという思いです」
──加入後、初トライになりました。率直な気持ちは?
「うれしかったですね。ポジション柄、トライをして会場やサポーターのみなさんに感謝を伝えたいと思っていたので、チームがしっかりつないでくれたボールをトライラインの向こう側に置くことができて良かったですね」
──前節を上回る2,369人の観衆の中での試合でした。
「運営チームが非常に力を合わせて頑張ってくださって、会社のみなさんも寒い中、足を運んでくださった。前回も申し上げたかもしれないですが、勝つことをみんなで全力で目指して、勝つことよりも大切なもの、仲間との助け合うプレーや真剣な表情を見せる。今日はちびっ子も実にたくさん来てくれていたので、そういうみんなに良い時間をプレゼントできたかなと思います」
──全国高校ラグビー大会で東福岡高校が優勝しました。福岡県のラグビー熱も高まると思いますが、祝福のメッセージをお願いします。
「東福岡の選手のみなさん、関係者のみなさん、優勝、おめでとうございます。3年間、いろいろな思いをした中での集大成ということで、これからもその経験を次のステップで生かしてほしいなと思います。おめでとうございます」
──次節への意気込みをお願いします。
「まだまだ、シーズンは長いですが、勝つことに集中して、シンプルにチーム一丸となって戦うことを目指していきたいです。九州のみなさんにとっての感動は選手のひたむきなプレーや真剣な顔だと思いますので、勝ったあとの笑顔を届けられたらなと思います。応援、よろしくお願いします」
【(C)JRLO】
岩戸博和ヘッドコーチ
「九州電力キューデンヴォルテクスのみなさま、リーグの運営関係者のみなさま、本日はありがとうございました。総括ですが、九州電力キューデンヴォルテクスのディフェンスにわれわれは本当に今日、何もできなかったというのが第一印象です。完全にやられてしまった。やりたいことができなかったというところが本音ではあります。いろいろと準備してきたことはあったんですが、それをすべて九州電力キューデンヴォルテクスさんのディフェンスにシャットアウトされたというところでございます」
──準備してきたこととは?具体的に、どこに突破口を見出そうとしていたのでしょうか?
「できるだけ少ないフェーズで素早く外のスペースにボールを持っていこうと、今回はフォーカスしていたんですが、その少ないフェーズのところでのフィジカルバトルに勝つことができなくて良い展開に持っていくことができなかった。逆に少ないフェーズのところでやられたところがうまく攻めることができなかった要因かなという印象です」
──次戦に向けて。
「基本的にアタックについては、われわれのフィジカル面では外国人選手が少ないので、戦い方はあまり変える必要がないというか、変えることができないところがあります。引き続き、ボールを早くスペースに出すことを継続していきたいなと思っています」
中国電力レッドレグリオンズ
西川太郎共同キャプテン
「本日は九州電キューデンヴォルテクスのみなさま、リーグワン関係者のみなさま、会場にお越しいただいたファンのみなさま、ありがとうございました。総括として、本当に完敗ですね。ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)やラインアウトでプレッシャーを受けて、こちらが反則してしまって自陣でプレーしている時間が長くて、あまり、自分たちの試合、ラグビー、アタックができなかったのが敗因になります」
──率直に相手のほうが力として上だったことを認めざるを得ないような部分が多かったのでしょうか?
「何もさせてもらえなかったとプレーしている自分からすると感じていて、さっきも言いましたが、ラインアウトであったり、こっちがラックでモールを継続したいところのブレイクダウンであったり、そういうところでこっちがペナルティをしてしまった。そこでやられたなという感覚です」
──自陣でプレーする時間が長くなってしまったが、チーム内の雰囲気はどういったものだったのでしょうか?
「『敵陣で!』という声は出ていたんですが、なかなか、うまいこといかず、九州電力キューデンヴォルテクスさんのディフェンスの前にアタックしているはずの自分たちのほうがプレッシャーを感じてしまって自陣に張りつけられてしまった。厳しいゲームになってしまいました」
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