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2カ月越しのリベンジの舞台。 涙を責任感に変え、熱く戦う背中を見せる
グラウンドをあとにすると、悔し涙が流れた。2月12日のNTTドコモレッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)とのビジターゲーム。中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)の大木寿之は今季初先発だったが、意気込んでいたスクラムで相手の圧力に屈し、交代後にベンチで泣いた。 「あの試合はひさびさの先発だったし、セットピースを期待されて出してもらったけど、そこでRH大阪にやられてしまった。本当に悔しかった。ラグビー人生で初めてですね、ベンチに戻って涙が出たのは」 そう話していると、先輩の河口駿と塚本奨平が近づいてきた。河口がすかさず「涙が出たというか、声を出して泣いていたよ」と満面の笑みでつっこむ。苦笑いの後輩は、「ベンチで泣いていたら、たまたまイヤな先輩がいました(笑)」と言い返したが、先輩からのイジりにうれしそうだ。 大木のラグビー人生は、頼れる背中を見て歩んできた。男4人兄弟の末っ子で、兄の影響でラグビーを始め、國學院大學栃木高校から帝京大学へと同じ道を進んだ。大学では特に1歳上の河口と塚本にかわいがってもらい、いまでも「悩んだらまず相談する」と、信頼を寄せる存在だ。卒業後に広島でラグビーを続けたのも、この二人がいたからだった。
中国RRでも帝京大学出身の選手が多く、末っ子気質は健在。昨季までは3つ上の先輩である松永浩平がキャプテンとしてチームをけん引していたため「今まではどうしても引っ張ってもらう感じで、付いていくだけだった」。 だが、大木も今年で29歳。後輩も増え、今季からはキャプテンも年下の二人に代わった。これまで先輩の背中を見てきたが、「後輩をサポートしたいし、一緒になってチームを盛り上げていきたい」と自覚も高まってきた。 さらに、小さなファンの大きな応援が背中を押してくれている。関東に住む甥っ子3兄弟がラグビーをしていて、特に小学3年生の末っ子は中国RRの試合を欠かさず見ているという。 「甥っ子たちがラグビーにハマっていて、本当にかわいいんですよ。それが今季一番の頑張れる源ですね。僕がタックルしたら喜んでくれるし、僕のタックルの回数を数えているぐらい。だから試合中にタックルを外せないし、変な試合はできないですね」 今季は今まで以上に責任感が強くなった。
前回のRH大阪戦後の涙がその証だ。「自分の力を発揮できなかったし、コーチたちの期待に応えられなかった。甥っ子たちも見ていたので、今季一番悔しい試合でした」。 今節の相手は、そのRH大阪。今季最後のホストゲームで大木はリザーブに入った。前回の悔しさは忘れられない。それでも、試合に出れば、強敵相手にまた果敢に立ち向かう。「しっかり体を張って、泥臭いプレーを見せたい」。グラウンドに入ると、熱く戦う背中を見せる。 (湊昂大)
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