レッドレグリオンズ

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これが広島ダービーだ。声援に後押しされた “広島”の選手たちが生み出した熱戦<中国RR vs SA広島>

【©ジャパンラグビーリーグワン】

マッチエピソード
中国RR 22-21 SA広島

試合終盤、マツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)が1点を追って果敢に攻め続ける。中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)は1点を死守すべく立ちはだかる。まさに意地と意地のぶつかり合い。これが、広島ダービーだ。

広島を拠点とする両チームは地元のラグビーを盛り上げるために団結し、今季のダービー3試合で合計1万人の観客動員を目指すプロジェクト『HIROSHIMA UN1000ON(ヒロシマユニオン)』を立ち上げ、試合の周知に力を入れてきた。

今節は広島ダービー第1戦。さまざまなグルメやイベントで彩られた試合会場は、中国RRのホストゲームとして過去最多の2654人の観客でにぎわった。3試合合計で1万人達成のための1試合あたりの目安となる3400人には届かなかったが、昨季のダービー1試合平均よりも約1000人以上多い数字だった。

プロジェクトの発案者の一人、中国RRの竹田英生運営統括ディレクターは、「ほかのラグビーチームが盛り上がっている中で、シーズン後に『今季も何もやっていないな』で終わるのがイヤだったし、『地方でもできるんだぞ』というのを見せかった」と力を込める。

広島は野球やサッカーなどスポーツに熱い県だが、ラグビーの人気や認知度はまだまだ低い。そんな中で竹田さんが意識したのは、「声を大きく上げる」こと。地元のメディアや企業も巻き込んで、大々的にプロジェクトを立ち上げた。

「一回、『こんなことをやります』と声を大きく上げて動いていくと、誰かが共感してくれて、一緒に盛り上げてくれた。本当にありがたかったです」

試合はSA広島が21点を挙げて前半を圧倒。だが、中国RRは後半に怒涛の巻き返しで後半31分に22対21の逆転に成功した。残りの約10分間は1点をめぐる激しい攻防。SA広島が前進の意思を貫き、中国RRが必死に喰らいつく。熱いバトルに観客の声援も加速し、スタジアムが盛り上がった。

竹田さんは、「スポーツの素晴らしさを再確認できた試合だった。観客の力や声援があったからこそ、最後にギリギリの勝負で勝てたと思う。選手たちがいい試合をしてくれたし、力をもらえました」と感慨深そうに話した。

激闘の末に1点を守り切った中国RRが逆転勝利を収め、広島ダービー第1戦は好ゲームで幕を閉じた。中国RRの西川太郎共同キャプテンは、「たくさんのお客さんが来てくれて、選手としてすごく幸せでした。記憶に残るような試合ができたし、これを機にラグビーを好きになってもらえたらうれしい」と話し、惜しくも敗れたSA広島の中野光基バイスキャプテンは、「肉弾戦の体と体がぶつかる鈍い音や迫力という部分ではすごくいい試合ができたので、ラグビーの魅力をお客さんに届けられたと思う」と胸を張った。

今季の広島ダービーはあと2試合。観客数の目標はまだまだ高いが、白熱した第1戦が次につながるはずだ。竹田さんは「本当にいい試合で観客の満足度も高かったと思うし、ラグビーの面白さを感じてもらえたと思う。この熱がここからもっと広がっていくのではないかという手ごたえは感じています」と期待を込めた笑みをこぼした。

中国RRとSA広島が地元のラグビーを盛り上げる。そんな思いを叫ぶような白熱の一戦。これが、広島ダービーだ。

(湊昂大)

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