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「お父さん、かっこよかったよ」。2年ぶりのメンバー入り、やっと見せられたファーストジャージー
2025年4月30日
午前7時、中国電力レッドレグリオンズの荒井基植は子供に起こされて1日が始まる。2児の父は朝の支度をしつつ子供の用意を手伝い、スーツに着替えて8時には家を出る。8時半に出社し、会社員として定時の17時過ぎまで働き、そこから練習場へと向かう。練習着をまとい19時からチームメートと汗を流すこと2時間。選手として大事な体のケアもしていると、帰宅は23時ごろ。洗い物とお風呂を済ませて1日が終わる。
仕事とラグビーを両立する生活は13年目。「最初は想像以上に大変だった」と新人時代を振り返るが、苦しい時期はいつも仲間の存在が支えだった。
「両立は覚悟の上だったけど、最初はまったく自分の時間がなく、ラグビーにも打ち込めず、モチベーションを保つのが難しかった。落ちるところまで落ちて、早々にラグビーは引退しようと思っていた時期もあった。でも、仕事もラグビーもやるのがこのチームのあるべき姿だし、僕以外にも頑張っているヤツはたくさんいて、先輩もそれをやってきていまのレッドレグリオンズがある。それを考えると、もうやらないといけないと思いました」
34歳になった荒井は年を重ねるにつれてけがが増え、試合から遠ざかる日も多くなった。それでも、「いまはしっかり仕事もしつつ、ラグビーをやりたいという思いが強い」と変わらぬ熱意をもつ。
両立生活にはすっかり慣れて、そこに家族も加わった。子供は5歳と2歳の男兄弟。「二人とも激しいので、妻には頭が上がらない」。荒井にとって家族は「仕事とラグビーを頑張る原動力」だ。
「子供がいるから仕事ももちろん頑張らないといけないし、ラグビーでも生き生きしている姿を見せたいです」
特に「物事が分かるようになって、すごく応援してくれる」という長男はお父さんの熱烈なファンだ。荒井が4月12日の練習試合で実戦復帰した際は、小さな体で誰よりも大きな声援を送り続けていた。
「子供が物心ついて分かるまでラグビーを続けなくてもいいかなという気持ちもあったけど、声援を聞くと、子供も成長したなと思ったし、ここまでやって良かったなと思います」
荒井は長い負傷離脱から復帰し、今季最後のホストゲームだった今節で2年ぶりのメンバー入りを果たした。後半35分、緊張でいつも以上に広く感じたグラウンドに立った。
「メンバーに選ばれてうれしかったし、仲間に支えられてきたので、何か返さないといけないと思って一生懸命やるだけでした。プレータイムが短くて内容はあまりなかったけど、けがもなかったので、次もしっかり頑張ろうと思います」
試合は惜しくも土壇場で逆転を許して敗れたが、家族3人が応援する前で仲間と一緒にプレーしたことがまた力になる。家族と仕事とラグビー。それが荒井の人生を彩っている。
「お父さん、かっこよかった」
試合後に長男からそう言われた荒井はジャージーを着たまま息子2人を抱えて笑顔で言った。「ファーストジャージーを着てプレーする姿を見せられて良かったです」。
(湊昂大)
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