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ラグビーを始めたころへの回帰。 「楽しむ」ことでチームを勢いづける

2023年2月11日

 

【(C)JRLO 中国電力レッドレグリオンズ 河口選手】

今季の始動前の昨春、河口駿は懸命にメールを作成していた。宛先は岩戸博和ヘッドコーチ。これまでフォワードでプレーしてきたが、今季からバックスでの挑戦を直談判するためだ。メリットとデメリットを自らまとめ、何度もメールやLINEでしつこいぐらいの熱意を伝えた。

「音声付きのスタンプを送ったときは、職場で鳴ったらしくて怒られましたね(笑)。ヘッドコーチとやり取りを何回かして、やっと『いいよ』って言ってくれました。無理やり言っていた感じもあったんですけど(笑)」

もともと、ラグビーを始めた中学から高校まではバックスの歴が長く、大学から本格的にフォワードでプレーしてきた。本人としては「バックスに戻るイメージ」。もちろん、やれる自信もあった。

「バックスのスキルは身に付いているし、いま在籍しているバックスの選手より僕のほうができる部分もあると思う。僕自身、できるプレーには自信をもっているし、ハンドリングは誰にも負けてないって思ってやっている」

今年31歳になる河口がバックス挑戦を求めたのは、昨季の課題だったバックスのパフォーマンス向上と選手層が厚くないチームの台所事情を考えてのこと。そして、何よりの原動力は「ラグビーをもっと楽しみたい」という純粋な気持ちだった。

「楽しいからラグビーを始めて、しんどいに変わっていくのは嫌だし、仕事のあとにしんどいことをしていると思いたくなかった。バックスをやらせてもらって、自分も成長できるし、楽しくラグビーができている。自分が楽しくプレーして、みんなも楽しかったら、必然と勝利につながるんじゃないかなと思う。今季は楽しむことを心に決めています」

今季は負傷者続出により開幕からバックスでのプレーが続いたが、前節はエドワード・カークの負傷欠場により、急きょフォワードのナンバーエイトで出場した。

「ヘッドコーチにうまくフォワードかバックスで使ってもらって、チームのために穴埋めできればいいかなと思ってやっています」

今節は2月12日のNTTドコモレッドハリケーンズ大阪戦。地元・大阪での試合で引き続きナンバーエイトで先発出場する。

「僕は爪あとを残したいタイプなんで面白いプレーをしたい。もちろん勝ち負けも大事ですけど、やっぱり観に来てくれた人が楽しいと思ってくれるようなプレーをしたい」

まずはラグビーを楽しむ。河口駿のその精神がチームを勢いづける。

(湊昂大)

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