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強敵相手に示した覚悟。つかんだ自信と 高まった基準は残り3試合への確かな力に
1勝7敗で最下位の中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)が、8戦全勝で首位の日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)をホストゲームに迎えての対戦。試合前、格上との一戦に向けて、「これを言ったら鼻で笑う人もいるかもしれないですけど……」と岩戸博和ヘッドコーチは言いつつも「本気で勝ちにいきます」と強い決意を示していた。
中国RRは接戦で勝ち切れない試合が続き、1点差で惜敗した前節の数日後には岩戸ヘッドコーチがイレギュラーなミーティングを開催。そこで「残り4試合は全部勝ちにいこう」と全員で覚悟を決めて今節に臨んだ。西川太郎共同キャプテンは、「気持ちのところでワンチームになって、この試合に挑めていた」と明かす。
強敵を相手に引くことなく、試合の立ち上がりから気合いの入った激しいディフェンスで立ち向かった。アタックでは今季ペナルティゴールを13本決めている宮嵜隼人のキックという選択肢もあったが、「(モールを)組めばいける」と真っ向勝負で果敢にトライを狙った。
試合は点の取り合いになり、残り10分で19対19の同点。ここで日野RDの継続した攻撃に屈し、ラスト3分で7点差にされる。これまでの中国RRならば、このあと得点を取り切れずに終わっていたかもしれない。
だが、失点直後に「もうトライを取るしかないので、『取りにいくぞ!』とみんなで話し合った」(西川)と最後の意思統一をして前を向いた。全員で体を張って戦い、宮嵜が突破し、北山絢大が敵陣深くまでアタックラインを押し上げた。最後はゴールライン際でラインアウトからのモール。「ワントライを取り切ろう」(西川)という強い気持ちで押し込んでペナルティトライ。中国RRの得意な形から、大きな7点を取り切った。
チームが踏ん張って一歩前進した瞬間だった。岩戸ヘッドコーチは、「前節の反省点だった『相手陣内の深くに入ったときにどうするのか』というところを今回はしっかりやってくれた」と得点を取り切ったチームを称え、西川は「いいマインドを持って80分間(集中を)切らさずに戦えたチームをすごく誇りに思う」と胸を張った。
ミーティングで明確にした覚悟を試合で見せられたが、引き分けという結果には満足していない。中国RRの視線はその先にある。西川は、「いい準備をして、いい気持ちでやれば、絶対に勝てるんだと、みんなも分かってきている。今日の試合も自信になったし、これを基準にして、あとは勝つだけ」と力を込めた。
強敵相手に価値ある勝ち点2を手にした中国RR。その覚悟を笑う者はいない。今季残り3試合、勝利を目指して進むだけだ。
(湊昂大)
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