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チーフトレーナー小川洋司が選んだラグビーの道【後編】『チームの成長への期待』

2024年4月13日

中国電力で長くラグビー人生を歩んできた小川洋司には記憶に残っている出来事がある。2007年の秋田国体で広島県のラグビーチームにトレーナーとして帯同していた時のことだ。中国電力の選手主体で構成されたチームに小川が珍しく喝をいれた。

「普段はあまり怒らないけど、そのときはチームがダラっとしている雰囲気があって、何かでキッカケを作らないといけないなと思いました」。たまたま食事の時間に遅れた庄島啓倫を他の選手全員にわかるように叱った。チームには緊張感が生まれ、翌日の試合は1点差の接戦を制して勝利したという。

「みんなの前でわざと怒って庄島には申し訳なかったですけど、雰囲気をピリッとさせるためにやらせてもらった。チームが変わるなら自分が悪者になっても別に構わんなと思ってやりました。それが印象に残っていますね」

(2007年の庄島選手)

これまで小川はチームのために行動してきた。それは、選手たちに「かっこいい男」であってほしいという思いがあるからだ。

「いろんな方々に応援していただいているので、『あの選手かっこいい』と思ってもらえるような男になってほしいし、子供たちに憧れられるチームになってほしい。そのためには、勝って感動を味わってもらうのも大事だけど、ちゃんと挨拶をするとか、玄関をきれいに使うとか、日々の行動をしっかりやらないといけないと思います」

中国電力ラグビー部の歴史でチームには大きな転機があった。ラグビー強豪の東芝でキャプテンとしてトップリーグ3連覇などに貢献した元日本代表の冨岡鉄平氏が2011~2012年に中国電力ラグビー部の監督に就任。「規律」を重んじ、その文化をチームに注入した人物だ。

小川は「冨岡さんが来て変わりましたね。ちゃんと挨拶をして、玄関をきれいにして、ルールを守ることを大切にしている人で、当時は会社に行く前に朝のトレーニングをして、夜も普通に練習していた。そういう文化を作ってくれました」と当時の変化を振り返る。

「冨岡さんがいた東芝はクラブハウスの玄関がきれいですし、選手たちも挨拶や話をしっかりしてくれる。これが強いチームなんだと感じました。うちはそれまでクラブハウスの玄関に靴が投げっぱなしだったけど、そういうところをしっかり注意されましたね。冨岡さんが来て、うちの玄関がきれいになるのに3年ぐらいかかりましたし、いまも100パーセントではないけど、全くできてないわけでもない。だから、その文化を徹底していかないといけないですね」

(冨岡監督時代)

中国電力のラグビー部は2017年にチーム名を中国電力レッドレグリオンズに変え、2022年に開幕したジャパンラグビーリーグワンに参戦。ディビジョン3で戦ってきたチームは着実に成長を遂げてきた。今季はペナルティの少ない試合が多く、規律の高さが徐々にチームカルチャーになってきている。

日々の行動における規律がグラウンドに表れていくはずだ。そう信じている小川は大きな期待を込めて話す。
「ペナルティが少ない試合ができているいまなら、選手たちに『玄関をきれいにしよう』と言ったら効くかもしれないですね。そういう文化がしっかりできて、玄関がきれいになったらチームは強くなると思います。そこは自分も目を光らせているんで(笑)」

中国電力に入社して42年。小川は2024年3月に定年退職を迎えた。人生の節目を迎えたが、今後も坂グラウンドの敷地内にあるグループ会社『株式会社エネルギア・スマイル』で働きながら、引き続きトレーナーとしてチームを支えていく。

「新しい会社も総務の課長がラグビー部の選手だったので、自分の活動にすごく理解があってありがたいですね。チームもまだ頼ってくれているところがあると思うので、体が動くまで頑張りたいです。グラウンドで最後を迎えるぐらいの思いを持ちつつ、チームの邪魔になる前に、もういいかなと思ったらスッと身を引こうと思います」

小川洋司のラグビー人生はまだまだ続きそうだ。これからも笑顔で中国電力レッドレグリオンズの成長を見守っていく。

ミナトコウタ

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