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けがを乗り越えてたどり着いたファーストキャップ。 ルーキーはラグビーに取り組む日々を取り戻した
2024年3月12日
中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)はリーグワン ディビション3第9節で清水建設江東ブルーシャークス(以下、江東BS)と対戦。21対22の1点差で敗れた。
後半10分、北山絢大がグラウンドに入った。昨年4月加入のルーキーはけがで出遅れたため、これがジャパンラグビー リーグワンでのデビュー戦。特別な試合でも「いつもどおりの空気を作って、いつもどおりのプレーを心掛けたい」と話していた。試合前の特別なルーティーンはない。ただ、いつもと同じように「いい緊張感」を持ち、23歳のウイングは自然体で試合に臨んだ。
北山は中国RR加入後すぐの夏にひざ痛めると、今季開幕前の昨年12月にけがが悪化して離脱。仕事とラグビーを両立する新しい環境に適応している中で、ラグビーだけが遠ざかっていった。
「長期のけがになると思ったので、かなり落ち込みました。ラグビーができないつらさや葛藤があって、気持ちのコントロールをするのがしんどかったです」
ただ、悶々とした中でも北山を前進させたのはやっぱりラグビーだった。「ずっとラグビーがしたい思いはあったし、僕の土台は全部そこにあるので、毎日モチベーションをキープしてやっていました」と復帰後を見据えて取り組んできた。
約3カ月の離脱を経て今節初めて試合のメンバー入りを果たした。出番は12点差をつけられた後半10分。それまで接戦を繰り広げていたチームの戦いを見ながら「自分が流れを変える」と意欲を高めていた。
「ボールタッチできる数は絶対に少ないと思っていたので、その限られたタッチ回数で結果を出したかった。自分がボールを持ったときには必ずゲインして、インパクトを与えるところは思い切りいこうと思っていました」
1点のビハインドで迎えた後半39分、北山は武器のスピードを生かして相手選手をかわし、鮮やかな突破を見せた。「自信がある1対1のところだったので、しっかり勝負して自分が前に出て後ろにつなげたかった」とチームを大きく押し上げて、逆転のアタックへの機運と観客の声援も加速させた。
中国RRはそのあとも懸命に攻め続けたが、1点差のまま惜しくも敗戦となった。30分間プレーした北山は、「悔しいし、個人的にも絶対に結果を出したいと思っていたので、全然満足していない」と振り返りつつ、「ラグビーができること、試合に出られることに感謝して挑もうと思っていました。やっと復帰できてホッとしました」と心境を明かした。
ラグビーに取り組む日々が戻ってきた。けがを乗り越えたいま、1年目の環境に向き合いながら前に進んでいく。「仕事との両立は難しいけど、自分に与えられた環境の中で、自分がどれだけ全力を出せるか、いかにモチベーションをキープして取り組めるかが、試合にもつながってくる」。ラグビーができる土台はまた整った。北山は次に出る試合も自然体で臨む。
(湊昂太)
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